神々の土地ネタバレあり感想

 

※観劇2回目の前にまとめたかったんだけど全然書き切れないしどうせあとからあとから書き足したくなると思うのでいったん出します。

 

 

 

神々の土地、my初日を終えました。

うえくみ先生は天才だ。

宙組生それぞれの良さを余すところなく堪能できる、素晴らしい作品でした。

 

私はまぁみりが好きだから、みりおんのいない大劇場公演に耐えられるか心配だったんだけど、本当に今の宙組でしかできない舞台を作り上げてくれたと思いました。配役に無駄がない。主要キャストは特に、それぞれの持ち味が存分に発揮されていて、まあ初演だし当て書きはあるでしょうけど、歴史ものっていう制約もあるわけだからこのキャスティングと演技は素晴らしいと思います。

 

私の期待を最も大きく上回ったのはまどかちゃんのオリガでした。酒場のシーンで既に彼女の背負っているものの重みが見えて、アレクセイを神父様のところへ! の絶叫で反射的に涙が出た。ラスプーチンに圧倒されて引っ込んだけど。

 

物語を通して、オリガは利己的な行動をほとんど取っていないんですね。ドミトリーについて舞踏会に行ったことぐらいで。だからオリガの純粋に楽しそうな笑顔が見られるのもあのシーンだけなのです……

恐らくドミトリーに恋をしていたとは思うけど、結婚が何のためなのかは理解しているし、だからこそラスプーチン暗殺の子細も皇后に伝えてしまった。それでもオリガには助かる道が見えていたのに、最後には母親の手をとる。皇后とオリガが二人で民衆の中に消えていくシーン、その背中に思わず「待って」と叫びたくなった。

道を見つけていた彼女の聡明さに、銃殺の時にも少なくとも直前には気付いたかもしれないとも思ってしまって、あの背中を黙って見送るしかないのが本当に辛かった。オリガのシーンは終盤になるほど辛いだろうと覚悟していたけどこんなにまで辛いとは思わなかった。ららたんのタチアナもまたかわいくて、オリガよりも無邪気なだけに後の運命の悲惨さが際立ってたなー……

 

イリナも献身の人ではあるんだけど、オリガとは少し違っていて、年齢がだいぶ? 違うのもあるだろうけど、イリナはある程度は自分で選んだ道を進んでいる(そもそも翻弄されすぎみんな泣)。のに対して、オリガの献身には彼女の意思と断定できるものがない。しかも一つも報われないんだよ!? オリガには本当に全然まったく救いがなかった。いっそのこと一本ものにしてOTMAまで描いてくれれば幸せそうなオリガが見れたのにと思うくらいオリガは見てて辛い。本当に辛い。

 

オリガの最後の背中を見ているとき、ドミトリーがここにいたら引き留めてくれただろうかとかではなくて、私が舞台に飛び込んで引き留めたいくらいの気持ちだった。感情移入をすっ飛ばして。それくらい物語の空気にのまれていたということでもあると思う。

 

それほどの空気感を作り上げているのに、ある程度ロシアという土地についてのコンセンサスがあるという前提で描かれているのか、冬は極寒だとか具体的なセリフはあんまりないんですよね。

でも、ドミトリー初登場時の雪原の背景とイワンとのやり取りで、私はもうロシアの大地に立てていた。そんなに長いシーンでもないし説明くささもないのに、一瞬で劇場がロシアになって、ドミトリーの人柄も見えて、ロシアの窮状まで分かるという。上手かよ。ものすごい上手かよ。

その寒さが伝わったからこそ、ドミトリーとイリナが外套を脱ぎ捨てて踊るシーンの美しさが際立つ。踊ってるからって外套脱げるほどロシアの冬は優しくないはずだから非現実的、だから幻想的で美しい。ララランドで空飛びながら踊ってたみたいなもん。

 

イワンが最後にもう一度登場するのも上手いよね。彼はドミトリーという人の人格を裏付ける重要人物だったなあ。ポポーヴィッチもそうですね。彼のフェリクスへの対応からイリナの人柄がわかるし、ドミトリーとイリナが館でどう暮らしていたかもより分かる。

 

 ジプシーサイドですが、ドミトリーやオリガ達実在の人々の没年とかはだいたい把握してたから覚悟しつつもハラハラしながら見てたって感じなんだけど、そっちに気をとられてラッダの死亡フラグに気付いてなかったから私もコンスタンティンと一緒に放心した……

ゾバールがあんまりにも姉貴姉貴しか言わないのでミーチャとラッダは姉弟だけどゾバールとミーチャは違うのか? と思ったらキャストのところにちゃんと「ラッダとゾバールの弟」って書いてありました。駅へ走るゾバールの背中を見て立ちすくむミーチャにラッダが声をかけるシーン好き。オリガもラッダも皇后もお姉ちゃんなんだよな……

 

政治の話が絡むしうえくみ先生の話は繊細だし初見じゃわかんないとこ満載かもとちょっと思ってたけど、ストーリーはすっと入ってきたので初回から登場人物の心の機微まで見えたのでうえくみ先生はマジで天才。

ツァーリとかいろいろ、にわかロシアオタにはテンション上がる単語もたくさん盛り込まれていて楽しかったです! すごいロシアを感じた! 私ロシアはまだ行ったことないんだけど本当に早く行ってみたくなった。

 

演目発表の時は、宝塚しかも宙組でロシアものが見れるイエーイ😃✌程度だったのに、いざ観劇したら私の魂も宝塚大劇場という名の神々の土地に還ってしまった。皆さんの魂も宝塚大劇場へどうぞ還りに行ってください。