バリアフリーの話

7/9(日)

タイトルを「バニラエアーの件」から変更しました。読み返したらバニラエアーはあんまり関係なかった。

 

※前提として、あんまりニュースとか読まずに書いています。私が観測した範囲のことに対して思ったことを書いたつもりだけど、失礼な間違いや誤解があったらごめんなさい。

 

まず、差別されたからって暴言吐いていいわけではないので、現場の社員に怒鳴り散らしたならそのことは非難されるのもやむ無しと思う。現場の社員は上の指示で動いてるだけで、どうにかしたいけどどうにもできなかったりすることは多々あるわけで、彼らに怒鳴り散らすのは弱い者いじめになりかねない。

もちろん、現場の社員が「は? 車椅子なんだからわがまま言うなや」という態度だったんなら怒って当たり前だ。そこについては、渦中の彼に対してどんな対応がなされたのか、ニュースを読んでも100%正確なことは分からないので、私にはなんとも言えない。

ただ「こんなやつ弱者じゃない」「障害者という立場を利用して」とか言われてるの見ると、いやいやそんなん言われてるんは、結局弱者とちゃうんけ! と思った。

 

私は飛行機にはほとんど乗ったことがないので、車椅子だと事前に連絡しないといけないことにまず驚いた。普段から飛行機乗る人にとっては常識なんかな? いや、そうではなさそうだと感じたし、そうだったとしても問題はそこではない。

車椅子でなくても、「◯◯だと事前に連絡しないと公共交通機関に乗れない」って、おかしい。今まで是とされてきたことだとしても、だからってしょうがないことだとは思えない。

私は補助具なしでの自立歩行ができるけど、毎日誰にも何の連絡もなく公共交通機関を使っている。それが車椅子だからって理由でいちいち連絡しなきゃいけないって、衝撃的だった。

バリアフリーはもっと進んでると思ってた……と本当は言いいたいけど、私の場合は不平等から目を背けていたという方が正しい。私はその時の気分と事情とで簡単に移動手段を変えたり時間をずらしたりできるけど、車椅子に乗っているというだけでそれができなくなるということに、日々の通勤ルートの中でもいくらでも気付ける要素があったはずなのに、全然気付かなかった。気付く義務が私にあるかといえば微妙なところだと思うけど、だからこそ、こういう風にニュースになるような行動を起こして気付かせてくれたことは、お騒がせなんかじゃなくむしろありがたいと思う。

 

例えば、翌日の出勤をいつもより30分早めなければいけなくなったとする。

自立歩行している私なら、(しんどいけど、明日はいつもよりちょっと早起きして、ちょっと早めの電車とバスに乗っていくか、まあ多少寝坊しても走れば間に合うな)と思う。

でも、もし車椅子で移動しようと思ったら、(しんどいけど、明日はいつもよりちょっと早起きして、ちょっと早めの電車とバスに乗らないといけないから、駅とバス会社に連絡しないといけないな。いや、一本早いバスは車椅子に対応してないからもう一本早める必要がある、ということは明日は30分の早起きでは済まないな、万が一寝坊したらタクシーか……出費がきつい……)となる。今の社会のルールだと。

 

いや、もう、考えただけでも面倒くさすぎ!!! エレベーター? ノンステップバス? それがなんじゃー!! 全っ然バリアフリーじゃないじゃん!!!!

ノンステップバスに乗降してるところも、駅で車椅子用のリフト使ってるのも見たことあるけど、全自動じゃないからいちいち人の手を借りないといけない。お互いに当たり前の状態になればいいけど、いちいちすみませんありがとうってやるのってけっこうしんどいと思う。感謝の意を示すのはもちろん悪いことじゃないんだけど、いちいち人に感謝しないと出歩けないってめっちゃしんどいと思う……

 

 

最初に暴言があったなら別と書いたけど、かといって「そんな言い方じゃ聞き入れられない」っていう言い分にも私は賛同できない。お行儀よく抗議すれば聞き入れられるのか? 限りなくNOだと思う。

 

でも今回の件で、いろんな生きづらさを抱えてる人がいるというのはよく分かった。文句言うなよ、って言った人も、たぶん他のどこかで不利益を被ったり理不尽な目に遭ったりしているのかもしれない。だからって怒りの矛先を向けるべきはそっちじゃない。足の引っ張り合いしてもなんにもならない。みんなで我慢してもみんな我慢してる社会が続くだけで、下手したら「文句言わんってことは現状オッケーってことか」っていう認識が生まれかねない。声をあげられる人からあげていってくれればいいし、片っ端から改善していってほしい。みんなで幸せになろう。